【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第13章 好いとうよ【2月】
side.名前
「何か飲むか?」
「うん。お水飲みたい」
「分かった。待っとって」
「うん」
雅治くんにお使いを頼んで、私はそのままベンチで休む。
やる事もないので、他のテニスコートを眺めた。
少し離れた所で、若い男の子達がテニスをしている。
多分、学生だろうなぁ…
その姿を、雅治くんの仲間に重ねてしまう。
きっと、雅治くんは私なんかじゃなくて、立海の皆とテニスがしたいはず。
あれ以来、口には出さないけど…
本当は帰りたいと思ってるんだろうな。
ずっと…
自然と目を伏せてしまった。
雅治くんの過去を考えると、胸が締め付けられそうになる。
何で神様は、彼をこの世界に送り込んだのだろう?
何で私だけが覚えていたのだろう?
こんなことってない。
雅治くんの望みを叶えてあげたいのに、
離れたくないと思うなんて…
切なさとやるせなさで、涙がぽろぽろとこぼれてきてしまった。