【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第2章 奇跡の出逢い【1月】
side.名前
朝日に透かされて、とても鮮やかな白銀の髪。
ひょろっと高い背を猫みたいに丸く屈める仕草。
息を呑んでしまう程キレイに整った顔立ち。
そして翡翠の様な特徴的な瞳と、口元にはセクシーな黒子がある。
………
似てる。
そんな筈はない!
…と頭は否定する。
しかし、特徴があまりにも揃い過ぎているものだから、思わず呟いてしまったのだ。
「………仁王、雅治…」と。
それは、寒い冬の日のことだった―
日の出前の薄暗いAM5:30。
昨夜から何故か寝つけないでいた私は、寝不足のぼーとする頭で車を走らせて、先祖のお墓参りに向かっていた。
眠い筈なのに眠れない。
何せもうすぐ24時間起きていることになるのだ。
最早、ここで事故っても不思議ではない。
そんなデンジャラスな私の車が、無事お墓近くの山道トンネルを抜けたのは、ちょうど6時になる頃だった。
その時間は、海岸沿いの山道から絶景の朝日を拝むことができる。
山道の途中に、浜辺へ下りられるよう堤の階段があった。
それ知っていた私は、駐車場に車を止める。
すれすれまで波が打ち寄せる階段に座り、暫く朝日を眺めていた。