【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第41章 決着【6月】
side.真田弦一郎
場所は変わって保健室。
先程、怒りが収まらず脱走を図った名前は、蓮二と幸村によって、またこの場に連れ戻された。
そして傷の手当をしているのだが…
「いたっ!いたたっ!いたーい!痛いよ!比呂志くん!」
「我慢なさい!女性が殴り合いのケンカをするなんて!全く!」
「だって絶対に負けられない戦いが―」
「まだ言いますか!?」
柳生にこっぴどく説教をされている。
「でも意外ッスよ。名前先輩が、つーか女子が殴り合いのケンカするなんて」
「だよなー!俺もマジでビビったぜぃ!」
「ねー!私も初めてだったから、かなりビビったよ!」
「だろうなー…って、えっ!?」
「えっ?」
「「「………」」」
………
シーン。
思いもよらない名前の言葉に、驚きのあまり声が出なかった。
全員があんぐりとした顔で名前を見ている。
喧嘩をしたことがないのに、立ち向かっていったのか。
「あー…えーと、次はセコンド欲しいね!」
「…あなたは、お馬鹿さんなのですか?」
「無謀な戦いだったんだな」
「あれ?呆れてる?」
「当たり前でしょう!」
「でもテニスのこと言われて黙ってられなかっただもん。テニス部の誇りとかも掛かってる気がして、負ける気がしなかったっていうか、負けたくなかった…」
柳生同様、女子がケンカをするなんて…と確かに思う。
だが、予想外の言葉や、拗ねたように話す名前を見ていて、とても嬉しい気持ちになった。