【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第41章 決着【6月】
side.幸村精市
仁王も、こんな顔して笑うことあるんだなぁ…
なんて呑気に感心していられたのも束の間。
廊下の彼方から「いたっ!このくそ雅治!」と授業中にも関わらず叫ぶ名前の姿。
「ねえ?何であんなにたくさん彼女がいたの?」
「はっ?すまんじゃねーよ!男として最低だよ!女の気持ち完全になめてるよね!」
「とりあえず彼女代表に謝って来なよ!」
「はっ?あたしの方こそ殴られたんだけど?今すぐ謝ってきなよ!」
そう責め立てられファンクラブ会長の下へ向かう仁王を、俺は少し哀れに思う。
そして、その様子をみていた赤也はボソッと「仁王先輩よわっ」と呟いたのを仁王は知らない。
仁王が渋々歩いて行った方を見ている名前の肩に手を置き「ありがとう。名前」とお礼を告げれば、「何が?」と言いたげな表情で首を傾げる。
「真田と仁王のこと、庇ってくれたの嬉しかった」
俺がそう言うと「えっ?聞いてたの?」と急に顔を真っ赤にして焦り出した名前に、俺は笑ってしまった。
「俺、名前のこと本気で気に入っちゃったみたい」
周りで聞いていたみんなや名前が呆然とする。
優しく元気な名前を、俺は恋愛対象として好きになったみたいだ。