【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第41章 決着【6月】
side.幸村精市
保健室へ向かう途中、意外な名前の一面を知った俺は、仁王に名前のどこを好きになったのか聞いてみた。
すると、返ってきたのは「分からん」という予想外な言葉。
はっ?
こんなに入れ込んでるのに分からないって?
驚く俺に「自分が分からんもんを人に言えるか?」と言う。
俺はただ目をパチクリさせてしまった。
しかし、その後「ただ…」と言葉を添えはじめた仁王。
仁王曰わく
「名前は強くなんかなか。寧ろ脆くて弱い」
「えっ?」
あんな殴り合いしたのに?
「けどな、俺の為に、あのちっこい体張って色んなもんから守ってくれる」
「そうみたいだね」
「時々、今日みたいにムチャするけぇ心配するんじゃが、俺はそれが嬉しいんじゃよ」
至極愛おしそうな表情で名前について語る仁王に、何故彼女を想うのか分かった気がした。
確かにあんなに必死に自分や自分の大切なものを守ろうとしてくれる女の子なんかそうそういないと思う。
「仁王は名前の母性的なところに絆されたんだね」
俺が笑うと、幸せそうに仁王も笑った。