【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第41章 決着【6月】
side.幸村精市
「名前は無事かのう?」
「ふむ、大乱闘だったからな」
「傷いっぱいできてそうだね」
俺たちも踵を返そうとした瞬間「雅治、ちょっと待って!」と仁王の腕を掴む女子。
「離せ」
「…本当なの?本気でテニスがしたいって」
「そんな話、どうでもええじゃろ」
「ふざけないでっ!こっちはどうでもよくないっ!」
女子がそう怒鳴った瞬間、仁王が女子の胸ぐら掴んだ。
「仁王っ!」
さすがの俺でも焦るほど、仁王の瞳は色を宿しておらず、恐怖を感じた。
女の子相手に暴力はいけない!
咄嗟に伸ばす腕は、あっけなく蓮二に止められた。
「ええか?よく聞け!俺は、テニス部の数十人だか数百人だかのファンなんかよりも名前一人が大事じゃ!そんなちっさい男じゃ!」
「………ま、さ…」
「じぇけえ、今、おまんらを殺してやりとう思っちょる」
「、!!………うっ、ひっく、―」
仁王の気迫に腰を抜かした女子は、その場に泣き崩れる。
ここまでされれば二度と名前に近づこういう気にならないだろう。
殺気立つ仁王を宥めるように、蓮二が肩に手をかけ言う。
「俺たちも保健室に行こう」