【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第40章 戦う女達【6月】
side.幸村精市
少しは黙れよ、お前ら…。
顔がひくりとひきつり、こめかみにもどくんと血液が溜まるのを感じた瞬間。
「みんなは黙ってて」と言う名前。
「「「はあ?」」」
予想だにしない名前の発言に俺たちを含め、その場にいた女子たちも声を揃えて驚いた。
名前のために止めようとしたのに、逆に止められてしまった俺たち。
一体何なんだ…。
女子たちの戸惑いの目線は、最早俺たちと名前を行ったり来たり。
なんだかややこしいことになってきた。
「さっき廊下で言ってたじゃない。これは女同士の話なんでしょ?」
「「「はっ?」」」
愕然とする俺たち。
そして名前はポケットからハンカチを取り出すと、それを手に巻き付けた。
「私を消したい。雅治くんからテニスを奪いたい。まだそんなこと言う人がいるなら、覚悟して言って?私が力技で相手になる」
殴り合いをする気満々の名前。
俺たちは驚いて目を見開いた。