【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第40章 戦う女達【6月】
side.幸村精市
名前の言葉が胸に響く。
皆も思うことがあったのだろう。
自然と黙って聞き入っていた。
「あんた、さっきから何ごちゃごちゃ説教たれてんのよ!?叩かれたこっちの身にもなりなさいよ」
「私の平手なんて、雅治くんと弦一郎くんへの侮辱に比べたら大したものじゃないわよ!軽々しくセフレなんて言葉、二度と口にしないで!二度と雅治くんの邪魔しないで!」
「はあ?あんた何言ってんの?」
「あんたマジでムカつくんだよ!」
「きゃっ!!」
しかし、そんな感動も束の間。
中の様子が急変したため焦ってドアを開ける。
すると、俺たちの突然の登場に、目を見開いて黙りこくる女子たち。
だが、名前だけはこちらを一瞥して然して気にしていない様子だった。
とにかくケガ人が出る前にこの状況をどうにかしなければならない。
俺が「君たち――」と声をかけると、それを遮って女子たちが騒ぎだす。
「ちょっと!何でテニス部がいるの!?」
「こんなの聞いてないわよ!?」
一斉に騒ぎ出す女子たちに、俺は言うタイミングを完全に逃してしまった。