【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第4章 彼女の事情【1月】
side.仁王雅治
得体のしれない俺も複雑だが、彼女も色んな意味で複雑だった。
もしかしたら厄介者同士の縁だったのかもしれない。
「仁王さん、でもね付き合うには条件があるの」
「ほう。何じゃ?」
「私ね、一応彼氏がいるの」
突拍子のない名前の暴露に「はっ?」と間抜けな声が出てしまった。
一応って何じゃ!?
一応って!?
それか、あれか?
浮気がバレたら俺と別れますー、とかか?
っていうか二股!?
っていうか、この俺が浮気相手なの!?
ええっ!?
この俺が!?
彼女は普通に可愛い顔をしていると思う。
でも、そこまで飛び抜けた美人ではない。至って平凡な女だ。
しかし、世の中侮れない。
こういう女に限って、あんなことや、こんなことをしているのかもしれない。
「仁王さん?」
彼女の声で、はっと我に返る。
色々と膨らむ俺の妄想は一先ず置いておいて、まずは名前の話を聞いてみようと思う。