【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第4章 彼女の事情【1月】
side.仁王雅治
「…寂しさを埋め合う関係って、何かメリットあるの?」
「寂しい時に厄介事を避けて甘えられる。十分じゃろ」
「それじゃあ私がいなくなったら?寂しい思いするの?」
「するかもしれんが、すぐ忘れる。俺は女を本気で好きになったことないき」
俺の発言にふーん、と興味なさ気に頷く名前。
普通「ええっ?その年で初恋もまだなの!?」とか驚いてもよそさうなもんじゃけどな…
だが事実は事実。
俺は今まで誰かを好きだと思ったことはない。
女の外見や内面に惹かれたとしても、一時的なもの。
継続はしないし、ヤキモチや、愛おしいというような感情など抱いたことがない。
そんなことより…
「お前さんだけが、本当の俺を知っとるんじゃ。力になってくれんか?」
真っ直ぐ目を見れば、瞳の動きで返事が分かる。
「…うん、分かった」
何故、名前だけが俺を覚えているのか?
今はまだ謎に包まれたままでもいい。
この世界の君の側で生きてみたい。
そして俺は後に泣く。
君を忘れることなんて、俺にはできない。