【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第4章 彼女の事情【1月】
side.仁王雅治
「名前ちゃんにも寂しくなる時ってあるじゃろ?」
誰だって年に1度くらいは寂しいと感じる。
不意に襲い掛かる孤独感。
俺の場合は特に…
「うーん…そうだね」
「そんな時、側におってくれる相手、欲しくなか?」
「え?…う、うん。どうだろう?そうなのかな?」
難しく考えて過ぎて、
何度も首を傾げる名前。
「俺はこっちの世界もあっちの世界でも一緒じゃ…」
「どういう事?」
「何も知らん女は、この外見目当てに寄って来る」
俺がこの世界の人間なのかも怪しいのに。
「…そっか…」
「それに、俺はいつかあっちの世界に帰れるかもしれん。そん時に俺んこと好きな子がおったら可哀相じゃろ?」
「…まあ…」
「じゃけぇ、俺が向こうに帰るまでの間、仮の恋人ってのはどうじゃ?」
「君の側にいたい」素直にそう言えればどんなに楽だろう。
しかし、そんな提案でも彼女は考えてくれた。