【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第38章 踊る大捜査線【6月】
side.仁王雅治
「ご丁寧に一人ずつ殴ってきおった」
「そうでしたか。それで名前さんが危害を被ることはないのですか?」
「名前に手を出したら殺すって脅したけ、大丈夫と思うんじゃけど…」
「貴方のファンは少々過激です。くれぐれも名前さんから目を離さぬよう、気をつけましょう」
「わかっちょる」
「私も力になります。だから、少しは頼って下さい」
「柳生…ありがとさん」
柳生に礼を言った瞬間、保健室のドアが開いた。
必然的に視線をドアに向けると、そこにいたのは参謀だった。
「おや、柳くん」
「やはり保健室にいたか。緊急事態だ」
「どうかしたんか?」
「先程名前が女子に連れ去られたそうだ」
ぶるり。
参謀の言葉を聞いた瞬間、鳥肌がたつ。
憂虞。
それがどういう言葉なのか、初めて分かった気がする。
胸が鳴る。
気が焦る。
俺を呼ぶ声が聞こえた瞬間、既に保健室をでていた。
名前。
無事でいてくれ。