【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第38章 踊る大捜査線【6月】
side.柳蓮二
恐らく、仁王と柳生は保健室に居ると思われる。
精市と弦一郎と赤也が、名前の方へ向かったのであれば、名前の身は安全だ。
そう推測した俺は、ジャッカルと丸井を引き連れて迷わず保健室へ向かった。
その間、精市達から名前の居場所を突き止めたと連絡が入る。
やはりな。
「精市から連絡がきた。やはり名前は化学室にいるそうだ」
「マジ!?柳、何で分かったんだよぃ!?」
「ふっ。俺のデータを見くびるな」
「今更だけど、柳に怖いものなんてあんのか?」
「己の弱点を曝す馬鹿がどこにいる」
「おいっ!くっちゃべってないで、早く行こうぜ!場所がわかったって、仁王に知らせねえとやべーだろ!」
そうだったな。
俺と丸井もジャッカルに促されて足を速めた。
曜日や時間の条件を考えれば、確かに化学室は絶好の呼び出しスポット。
しかし、化学室とは…。
わざわざ精市の嫌う場所に呼び出した女子たち。
全く面倒なことをしてくれたもんだ。
そこで名前に手を出そうものなら、更に精市の怒りを買うことに繋がる。
そうなれば、俺たちも害を被ることは否めない。
「はぁ…」
俺はため息を吐きながら、保健室へ急いだ。