【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第4章 彼女の事情【1月】
side.仁王雅治
“必要”
その言葉に更に胸が苦しくなった。
何故名前が俺を必要としているのか、そんなことは分からない。
俺に訴えかける彼女の瞳は、今にも泣きそうな目をしていて、俺の存在を意味あるものにしてくれるには十分だった。
「…のう?俺と付き合ってくれんか?」
俺の言葉がひどく衝撃的だったのか「ええっ!?」と戸惑い始める名前。
思えばこれが初めての告白だったのかもしれない…
ただ居場所欲しかった。
名前の中での俺のポジション的なものが欲しかった。
そんな思いから、彼女を繋ぎとめようとする言葉が漏れた。
そんなものあろうがなかろうが、付き合っていても、一緒にいれなくなった女がごろごろいる俺としては、内心複雑になる。
今まで告白してきた女もこういう気持ちだったのじゃろうか?
思えば、本気じゃないことには巧みに歯の浮くようなセリフを言えても、こういう場合、性格上素直に口説くことができないらしい。
えらく直球勝負をしてしまった…
後悔し、改めて口を開いた。