【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第36章 長閑な昼休みの事件【6月】
side.幸村精市
屋上は最早恒例になりつつある俺たちの昼飯スポット。
本来であれば、誰の彼女であろうと女子は立ち入り禁止だが、名前だけは特別だ。
「遅れてごめんね。ほら名前も入りな」
「うん、お邪魔します」
俺の言葉に促されるように屋上に入る名前は、少し緊張しているようだ。
野郎ばかりでムサイ昼食も今日は紅一点。
皆も名前を受け入れてくれるだろうし、騒がしくなるだろうな。
俺がそう思いを迸らせている隙に、名前は早速輪の中へ引き込まれていた。
「おっ!名前じゃん!こっち来いよ!」
「こんちわッス!」
「名前さんがご一緒とは珍しいですね」
「名前の友達が2人とも放送委員の当番でね」
「精市くんが誘ってくれたの」
「…そうですか」
俺も名前の隣に腰掛けながら、可哀相な事情を説明する。
友達が2人しかいない発言に柳生が苦笑したのを尻目に、吹き出すのを堪える。
しかし、ふとある人物がいないことに気づいた。