【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第27章 精市くんの疑問【4月】
side.幸村精市
名前と櫻井さんにそんな話をしていると、急に名前が席を立った。
「どうしたの?」と不思議に思い首を傾げると「4限の自習の時間、先生に学校案内してもらうことになってるの。
ちょっと遅いけどね…」と苦笑いを浮かべる。
教室を後にする名前を笑顔で見送っていると「幸村ぁー!!」と非常に慌てた様子の真田がやって来る。
俺は驚きのあまり、ついていた頬杖から顔を滑らせる。
あまりにも酷い形相に「一瞬、真田を化け物と間違えた」なんて言える筈もなく、引き攣らせった笑顔で俺は答えのだ。
「どうしたんだい?真田」
「今、お前が話していた女子は誰だ!?」
「えっ?名前のこと?」
「今の女子は名前という名なのか!?」
「真田。落ち着きなよ。名前がどうしたんだい?」
「むっ!………実は………」
余程言いたくないことなのか、散々焦らした後、ぽつりぽつりと話す真田。
そして、そんな真田の話を聞いて、俺は驚いた。