【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第3章 彼の事情【1月】
side.名前
私は今、自宅からそう遠くないテニススクールに来ていた。
確かここはテニスが強くて有名なところのような気がする。
テニス経験者の父が以前言っていた。
あの衝撃的な出会いの後。
目が覚めて、時間を確認しようと枕元に置いてあったケータイに手を伸ばした。
そこで一通のメール受信に気づく。
送り主は仁王雅治。
あれが夢ではないと思い知らされた。
メールの内容は「テニスを見に来て欲しい」と実にシンプルなものだった。
他には時間と住所が記されており、特別予定のない私は車のナビに住所をセットして来てみた。
場違いかな?と思いながら、スクールの館内に入ると一際目立つ銀髪の彼を見つける。
試合中のため、声をかけるタイミングがわからない。
さて、どうしよう。
私は練習の邪魔にならない場所を見つけ、彼のテニスをじっと見ていた。
試合は圧倒的なものだった。
彼は本当に強い。
テニスの経験がなくとも、それが分かるほど彼は強かった。
流石“王者立海”のレギュラーだな、と感心をしてしまう。
そして、彼は漫画のように誰に変身するわけでもなく、純粋にきたボールを打ち返し、ごく普通のテニスをしていた。