【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第23章 人間の咄嗟の行動【3月】
side.名前
「本当にすまなかった!!」
「いえいえ!!私こそ!!いきなり飛び出して、出来る筈もないような真似をしたから当然なんです!!」
「だが、俺が―」
深々と頭を下げる真田弦一郎くん。
私の方こそ土下座して謝りたいくらいだ。
私が意識を取り戻した後、事のあらましを聞いた。
どうやら真田弦一郎くんはラブレターをもらっていたらしい。
しかし、相手は奥手な女の子。
名前を名乗る勇気もなく、偶然知ってしまった真田邸を度々見に来ていたようだ。
どういう思考回路でそうなったのかは疑問だが、彼女は真田くんの頭の中ではストーカーになってしまったらしい。
「むっ!ストッカーではないのか!?」
「真田くん、ストーカーね。ストーカーって語尾をのばすの」
というわけで、私が意識を失っている間、色々な誤解が解けたようである。
誘拐を企てるような子ではないと、話してみて分かったらしい。
これにて一件落着…
したように思えたが、事件はまだ終わっていなかった。
「あああああーーー!!!!!」
「なっ、何事だ!?」
「何!?」
突如、奇声をあげる私に驚く真田弦一郎くんと見知らぬ少女。
私としたことが…
やっちまった!!
重要なことを忘れており、焦る私。
あわあわと慌てふためき周囲を見渡すが、見つからない。
声にならず、ジェスチャーで手持ちの袋を2人に伝えてみるが、伝わらないようだ。
2人は「何だっ!?」とばかりに私を見ていた。