【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第23章 人間の咄嗟の行動【3月】
side.名前
「私のっ!!私の野菜っ!!野菜はどこ!?」
「野菜!?」
「あの場に落ちていた野菜なら、拾っておいたが」
「どこにあるんですか!?」
「冷蔵庫だ。すぐ取ってこよう」
「お願いします!!」
大事な野菜をすっかり忘れていた。
「痛んでないといいのだが…」
「ありがとうございます!!本当にありがとうございます!!」
「いや、礼を言うのはこちらの方だ」
「あ、あと、今何時ですか!?」
「17時手前だが…」
「うええっ!?」
なんてこった!!
「大変!!雅治くんが部活から帰ってきちゃう!!あの、本当にありがとうございました!!では、あとは若いお二人で!!」
私は嵐のように走り去った。
真田弦一郎くんとあの女の子が上手くいくかどうかは知らない。
そんなことより(←酷い)私は、雅治くんの夕食の方が大事だ。
「雅治?…まさか、仁王!?」
私が見えなくなるのを呆然と見送っていた真田弦一郎くんが、雅治くんの名前を呟いていたことなど私は知らない。