【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第22章 ストッカーではなくストーカー【3月】
side.真田弦一郎
茶の間の襖をスパーンと勢いよく開けると、甥っ子が驚きを隠せないでいる。
「そんなに慌ててどうしたの?おじさん」
「…無事だったか」
ほっと安著の息を吐く。
「何言ってるの?どうかしたの?」
眉間に皺をよせ、怪訝そうに聞いてくる甥に「いや、何でも…」と言葉を濁す。
「最近変わったことはなかったか?」
「えっ?」
「誰か、女に付き纏われているとか…」
「うーん…」
甥の考え込む仕草に、心当たりがない様子であると分かった。
いらぬ心配だったか。
ほっとしたのも束の間。
「あっ!!そういえば!!」
何かを思い出したように見上げてくる甥にぎくりとする。
「この前おじさんと出かけた時から、家の前によく来るようになった女の人がいるよ」
「なっ!!家の前に来るだと!?」
「うん、なんかずっと笑って庭にいる俺を見てるんだよね」
「何だと!?話したのか!?」
「ううん。ただ見てるだけ」
甥っ子の発言に冷や汗が出た。