【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第20章 お受験戦争【3月】
side.名前
「名前さん、またここのスペル間違えてますよ!」
「えっ?本当だ。時間もったいないから夜に10回書いて覚えるね」
「そうですか。他の文は出来ていますからね。いいでしょう。少し休憩にしましょうか?」
比呂士くんの予想だにしていなかった発言。
「いいの?」
「ええ。頑張りましたからね」
顔色を窺うと、頭を撫でながら笑顔を見せてくれた。
比呂士くんの優しい一面を垣間見た私は、ホッとする。
「お茶入れてくるね」
「お願いします」
「あいでっ!」
席を立とうとするが、足が痺れて動けない。
悶える私に、呆れたようにため息を吐いた比呂士くんは自分がお茶の準備をすると席を外す。
比呂士くんは、どうやらお母さん体質みたいで、厳しいけどとても面倒見が良く優しい一面もあることを知る私。
「仁王くん、休憩するので何かお茶を頂けますか?」
「おお。ところで柳生、名前ちゃん大丈夫か?」
「ええ。なんとか合格はできそうですよ」
「お前さんが女子にあそこまで厳しくするの初めて見たぜよ」
「受かって頂きたいのですから、躾けるのは当然でしょう」
「はっ?」
「かわいい娘のようなものです」
試験まであと1週間。
雅治くんと比呂士くんがそんな会話をしている時
私は、痛みのあまり床をバシバシ叩いていたのであった。
こんなスパルタ教育(素敵なレディー教育)という仕打ちを受けたのだから、絶対に受からなければおかしいと思う。