【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第19章 家庭教師【3月】
side.名前
『はい、もしもし?』
『もしもし名前ちゃん?俺じゃけど。今、平気?勉強中じゃった?』
『うん、勉強してたけど平気だよ。部活終わったの?』
『おお、終わった』
『そっか、お疲れさま』
『おお、そんでな?』
『うん?』
『今から、柳っちゅー家庭教師連れて帰るから』
『えっ?』
そして、今。
私の目と鼻の先に立つ長身の美形さんは、まさに達人(マスター)こと柳蓮二くんだ。
ぽかんと口を開けて見惚れる私の顔は、きっと変な顔になっているに違いない。
しかし、柳蓮二くんはその魅力をフル活用して私を惑わすので(勝手に惑わされているだけ)、放心状態で食い入るように見てしまう。
「先日振りだな、苗字名前」
「…は、はい!」
「仁王から話は聞いている。この柳蓮二に任せておけ」
かっ!
かっこいい!!!
やっぱり実物は違う。
もう悶絶するかと思うくらいステキな柳蓮二くんに見入っていると、隣から雅治くんに頭を軽く小突かれた。
「名前!何、ぼけーっと参謀に見惚れとんじゃっ!」
「ご、ごめんなさい。宜しくお願いします!」
ハッと我に返り、慌ててお辞儀をする。
すると頭上から「よろしくな」と控え目に笑う柳蓮二くんの優しい声がして、ちょっと勉強が楽しみになった。