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【Dグレ】神の使徒

第12章 過去を語る


「「……」」



無言で見つめ合う形になる私達。



アルナ「あなた、誰…?」

アルト「…あはは、やっぱりバレてるか〜!」


驚いた表情の後、困った様に頬をかいて笑う相手。


アルト「いつ気付いたの?」

アルナ「…最初から」


そこまで分かりきってたんならこの姿で現れる必要なかったな〜と、あちゃ〜といった風に言う。
そして私を振り返る。



アルト「…僕はね、ここにある力、そのものなんだ。」

アルナ「っ…!!」

アルト「本来、姿はないよ。今は君の記憶にあるお兄さんの姿を借りてるだけ。呼び方は自由にどうぞ」




薄く微笑みながら、アルトの姿を借りたそいつは言う。

その笑顔はどこか、優麗としていて。




アルナ「…お前が、私をここに連れてきたの…?」




今知りたいのは、そんなのじゃない

私がここに居なきゃいけないわけ

それを知りたい



力「…そうだよ」

アルナ「なんでッ…どうしてッ…!!?!?私はッ」


静かに、私に問うてくる声


力「あそこで共に死ぬつもりだったと…?」

アルナ「っ…!!ち、違っ…」



目が合い、相手の声がいきなり低くなる。



力「違わなくない。君があのままあそこにに居たら…迷わず共に死ぬ事を選んでた」

アルナ「……っ」



心の何処かでそんな考えがあったのも事実、何も言い返せなかった。



力「…君はまだ死んだらいけないんだ。この世界の使命がある」

アルナ「…使命?…何のこと?」

力「おっとまずい!これ以上は今教えられない、少し喋りすぎたね」



パチンと指を鳴らしたと思えば、周りの景色が全て消え、黒の世界になった。



力「力の使い方位なら、また教えに来るよ」

アルナ「待っ…いない」



既にもう相手は居なかった。

私は"力"と呼ぶのもややこしいので、"ユラ"と名付けた。

…アルトの姿なのに、目の色だけ深い蒼色と違くて、綺麗に揺らめいてみえたから。

ただ、それだけ。





それからもユラは、私の前に度々現れた。

ユラ本来の、少し幼い青少年の姿で。





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