第12章 過去を語る
_____数年後、
いや、実際にはそんなに時間の感覚がなくて数日経ったのか数ヶ月なのか、はたまた数年なのかは実際黒の世界では分からなかった。
アルナ「ユラ、あんた少し弱くなったんじゃ…ないッ!?」
ガチンッ…バチッ…
金属と金属がぶつかり合い火花が散る。
ユラ「そんなこと…無いけど!!」
ガキィンッ…
振り下ろされる剣を、左手から剣を創り出し受け止める。
アルナ「足ガラ空きなのに、よく言うねッ…!!!!」
ユラ「ッ…!?」
右手にも剣を創り出し、ガラ空きになっていたユラの両足を叩く為に腕を振り切る。
ユラ「…そこまで出来るんなら、もう十分だね」
アルナ「お褒め頂きどうも」
私の剣先が標的を捉えることはなかった。
背後に瞬間移動したユラに対して、顔を向けずに言う。
私は、あれから
この力を使いこなせるようになる為に、ユラと実践して教わって貰っていた。
最初のうちは、ユラを怨む気持ちで、全力でぶつかったりしてた。
けど、戦ううちに…時が流れるうちに少しずつその感情も薄れて、新しい思いが生まれた。
この暗い世界で、共に生きる"戦友"、自分を理解してくれる"親友"
そして、"新しい家族"……
そう考えたら、会話も次第に増えてった。
振り返り、ユラの顔をしっかりとみる。
もう私達に数年前の面影はない。
ユラ「大体力は操れるようになったから、もう特訓は必要無いよ」
アルナ「…うん」
ユラ「これから、どうする?外に出る?」
私は空を見上げる。
アルナ「…実はさ、考えてたんだ」
(アルト兄さんを捜しに行こうと思う)
その声が、闇に響いた。