第12章 過去を語る
この光は一体、何がしたいんだろうか
何処へ連れて行くのだろう
アルナ「やだッ…!!!なんで私だけなのッ!!!
母さん達も一緒に包んでよッ…!!!!!!」
なんで私だけなんだ
どうしてふたりを包んではくれない
光は私を強く引っ張る
痛い。身体が痛い。
けど心のほうがもっと痛い。
誰か助けてよ
アルナ「ねぇ!!!!私はどうでも良いから
ふたりを助けてよッ!!!!! 私をあの日ッ助けて、くれた
大切な人達なんだよぉッ…!!!!!!!安全な場所に
連れてってくれるんでしょッ!?!?!?」
お願いだから、どうか
幸せを崩さないで……
希望を、夢をみさせてよ
アルナ「いやぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁッ!!!!!!!!!!!!!」
暗い鏡の中に沈んでいく体
身の前に見えるのは、赤と白
それと、ふたりの顔。
それらがごちゃごちゃに、映像として私に映った。
私は
母さんと、父さんを救えなかった。
助けられなかった。
なのに、一人生き延びてる
ふたりを、捨ててしまった。
見殺しにした。
私が
私が…
私が、ふたりを殺した
殺して、しまったんだ。
アルナ「う"…ひっ、ごめん…母さん、父さん!!!!」
鏡の中から見えたのは、赤に包まれ
呑まれていく屋敷と
ふたりの姿だった。
"ごめんなさい…守れなくて"
"ごめんなさい…殺してしまって"
私はふたりの最期を、見つめることしか出来なかった。