第12章 過去を語る
アルナ「母さん!?父さんッ......!!」
慌ててふたりの元に駆け寄る
アルナ「...…っ…!!!」
周りは、赤。
鮮やかなほどの、赤。
アルナ「…なん、だよ…ッ…これ!!!!!」
ふたりの周りには_____赤。
しかも、燃え盛っている炎の赤ではなく
ふたりから流れでている。
アルナ「ねぇ...?母さん...?...父さん.........?」
その場にしゃがみ込む。
アルナ「....ねぇ、返事...してよ...?...ねぇってば....」
ふたりを揺するも返事なし。
何度も何度も、呼び掛ける
声が震える......
嫌だ......
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だッ.........!!
アルナ「ねぇ嘘でしょッ!?またいつもみたいにっ...笑ってよッ...!!」
揺さぶる力を強めれば、
血がどんどん流れゆく_______
目を開けてくれることは無い。
「なんで...ッ...!?...どうして......ッ......!!」
目頭が熱くなる
視界が歪み、頬をあたたかい何かが伝う
アルナ「やだッ....!!...死んで欲しくないよ...ッ.......!!」
何度叫んだだろう
アルナ「...ッ!!死な、ないでっ...!!....生きてっ...!!」
何度願っただろう
アルナ「誰かッ...助けてっ......!!」
何度、助けを求めただろう
アルナ「...アルトッ...!!...助けに来てよッ...!!」
何度、ここにはいない君の名前を呼んだんだろう
大切な人達が、目の前で血を流して倒れている
それなのに……自分は、叫ぶことしか出来ない。
周りは完全に、炎に閉ざされた
けれど、決してふたりから離れようとはしなかった。