第5章 桜 色 の 泪[煉獄杏寿郎]
「んっ…」
項を支え、舌を口内に割り込ませながら襦袢の紐をといていく。反対の手で腰を引き寄せれば、熱く反り立った欲をはなの腹に押し当てる格好になる。
「んっ…」
舌を絡ませると、それに応じながら切ない声を上げた。
「待って…」
「待てとは酷なことを言うのだな」
俺の胸を小さく叩いて息を継いだはなは潤んだ瞳で俺を見上げてくる。頬は紅潮し、血色の良くなった唇からは吐息が洩れた。
「杏寿郎様…温まってから…にしませんか…?」
このままこの場所で致してしまいそうなほど、俺の熱は上がりきっていて、己を見失いそうなほど求めてしまっている。
「むっ…。そうだな。風邪をひかせてしまっては花見どころではなくなってしまうしな」
肩に引っかけてあった襦袢に手をかけて床に落とした。
もう何も体を隠すものはない。全てを俺に露わにしたはなの体に、俺の昂りは増すばかりだ。
今すぐ抱きたい衝動を飲み込み、隊服を全て脱ぎ抱き上げた。
「自分で歩けます」
「滑ってはいけないからな」
もっともらしい事を言ってはみたが、俺がただ君に触れていたいだけなのだ。
はなは俺の首に腕を回してしがみついた。
肌を伝って感じる体温は確かにはなのもので、任務の間この温もりを幾度となく思い出しては恋しくなっていた。
そのまま風呂場へ入り、背を向かせて胡座の中に座らせれば、やはり恥じらいを見せる。
「あの…自分で洗えます」
「待たせてしまった詫びだ。洗わせてくれ」
「恥ずかしいです。全部見られてしまいます」
「俺に隠したいことがあるのか? 俺は君を隅々まで知りたい」
「隠したいことは…ないです…けど」
「よし! 決まりだな」
はな不満気に頬を膨らませていたが、白い背中に湯を掛けて、泡を手のひらで伸ばして行くと、すぐに体を預けてきた。
後ろから乳房を手のひらに収めて柔く揉みしだくと、脚を擦り寄せた。下腹部が疼くのだろう。
「あっ…」
「これでは物足りないな?」
泡で滑りの良くなった乳房を下から持ち上げるように揉みしだきながら指先で乳頭を弾く。
「あぁっ!…杏寿郎様、嘘つき…」