第4章 甘 い 嫉 妬 [宇髄天元]バレンタイン
俺に昼までてでこいって言ったのは…このためだったってわけか
やっぱりこいつには敵わねぇな
『ウイスキー入りとは洒落たことしたな ありがとな。……ん?はなそれ食った?』
「食べたよ?味見しなきゃでしょ?」
『それじゃねぇか!今日おかしいと思ったんだ。やけに厭らしいからよ…酔ってんじゃねぇか!』
「えっ?一粒だよ?」
匂いも残らない少しの量
それでも酔ってしまう程酒に弱い
『お前!酒弱いだろうが!』
「あのくらいなら大丈夫だと思ったの!そんなに強く言わないで…」
外では呑むなと言ってある
まさかここまでとは自分でも思っていなかったようだ
『わりぃ…まぁ、でもそのお陰で良い思いさせてもらったわけだ。それ…食っていいか?』
俺はチャーハン作りを後回しにして、チョコを頂くことにした
「うん!食べてみて?」
俺に手を引かれニコニコしながら着いてくる
膝に乗せたはなから箱を受けとると、綺麗に結んだリボンをほどいた
箱を開けた俺の顔を見たいのだろうはなは手元ではなく、俺の顔を見つめてる
そっと開けると丸いチョコが6個並んでた
『食わせてくんねぇ?』
俺ははなにチョコを咥えさせ、そっから口に含んだ
『うまっ…すげぇ美味い』
「良かった…嬉しい」
ついでにはなの唇も食っときたい
ウイスキーの苦さのあとにくる甘さは、まるで嫉妬の後の甘い情事
来年もきっと、俺は嫉妬するだろう
そしたらまた、甘いはなを頂くとしようかね
甘い一日をありがとな
はな、来年も再来年もこの先ずっとお前と俺は一緒だ
――fin.――