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夜空に輝く星一つ。【鬼滅の刃 短編 中編 】

第3章 懐 想 [煉獄杏寿郎]バレンタイン


何度も助手席を見てしまうのは、そこに幾度となく彼女を乗せたから

ちょうど買い替えたいと思っていた車

迷った挙げ句、VOLVOのSUVにしたのは、事故から彼女を守りたいから。
事故などあってはならないが、もしも…が起こることがあるのが人生だ。
そんなこんなで車選びでさえ、彼女が基準になるのだ。

はなに合わせたシート

君のお気に入りの飲み物を置くドリンクホルダー

この車さえ愛おしくなってくる俺は、相当絆されている




14日か……
何をしようか
前に観たいと言っていたDVDを観るか?
生徒に勧められたゲームか?
いや……
やはり一番は……

ここのところ、お互い忙しくゆっくりデートもしていない。
それどころか電話をしたのも5日振りだった。
LINEは送りあっていたものの、物足りなさは否めない。
しかし、その日を楽しみに待ち焦がれる日々も悪くはない。
だが…

『そろそろ…はなが足りなくなりそうだ…』

赤信号での待ち時間、助手席に無造作に置いたスマホを見つめてしまう

あんな小さな機械からはなの声が聞こえ、俺を一気に浮き足立たせた。

14日はきっと美味しい料理を作って待っていてくれるのだろう。
クリスマスもそうだった
作りすぎたかな?と照れ臭そうに笑う君が愛おしくて、皿まで食べてしまいたいくらいだった

すると、考えに耽っていたせいで後続車にクラクションを鳴らされてしまった

『いかん、いかん…』

頭を一振りすると、再びアクセルを踏んで進んだ。

杏寿郎の職場であるキメツ学園は、中高一貫の大きな学校で杏寿郎はここで教鞭を執っていた。

裏門から入り、駐車場へ停める。

何らいつもと変わりない日。


『おっ!煉獄じゃねぇか。今日は珍しく遅いのな。いつも一番乗りなのによ。』

向かいの車から降りてきたのは宇髄。

この者もまた、この学校の教師だ
えらく色男で、女子生徒からも人気があり、14日はさぞチョコをもらうのだろうな

などと考えていると

『おいおい、どうした?熱でもあんのか?顔が赤いぞ?それとも…14日にいい予定でも入ったか?』

なんとも察しの良い男だ。

『おはよう、宇髄。……いや、まぁ彼女と…な。』

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