第9章 凪の奥の激情[冨岡義勇]
傷は己が不甲斐ないばかりについたものだと思っていた。だがはなはそれを肯定する。ことごとく俺の概念をひっくり返すはなに戸惑うこともある。だが……はなは俺を光の方へ引き摺り出してくれているのだ。
「そんな事を言っていられるのも今のうちだ。これからしようとしていることわかっているな? 音をあげても離してやれないからな」
「覚悟しています。それに義勇さんとなら、それもまた幸せです」
それから俺は、はなの善がるところを手探りで探していった。
陰裂の中の壁を擦るように刺激してやると、腰を浮かせて逃げようとする。花芯を擦れば一層高い声を上げる。
双丘の先端と同時に攻めれば声は一段と高くなる。
「あっ…んっ…一緒は…だめ…何か変…」
「それでいい。一度気をやるといい」
快楽から、逃げようと腰を引くはなの口を塞いで動きを封じた。逃げ場のなくなったはなは縋るように俺の髪に手を差し込んでくる。
水音とはなの声が部屋に満ちると、俺の理性は爆ぜそうになった。
「んっ、あっ…もう…あぁっ」
花芯を揺らし、中の壁を擦る。はなは一瞬体を強張らせ、そして果てた。
首に回していた腕は力なく解かれ、目はうつろで呼吸は荒い。それでも俺の顔にかかる髪に触れる手つきはこんな時でさえ優しい。
「はぁ…あっ…義勇さん、私の体はどうなったのですか」
「絶頂だ。快楽の頂にいった」
「快楽の頂…じゃあ義勇さんは…? 私ばかり善くなって…」
「俺が快楽の頂にいくならはなの中がいい」
「いつでもきてください。私は大丈夫だから」
「痛むぞ」
「義勇さんからくるものなら、痛みだって喜んで受け入れます」
手前勝手に動くことがないよう、理性を手繰り寄せてはなの陰裂に当てがった。
「んっ…」
「息を詰めるな。ゆっくり呼吸しろ」
「…はい」