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夜空に輝く星一つ。【鬼滅の刃 短編 中編 】

第7章 promise[煉獄杏寿郎]



 ──お前が殉職して少し経ったころ、はなは目に見えて弱っていった。食が喉に通らなくなったのは、お前を亡くしたショックからだとばかり思っていたのだが、はなはその前から体の不調に気づいていたと後に聞いた。
 無理して腹に入れると戻してしまうし、抗えない眠気とだるさ。これは俺も瑠火で体験していたからな、もしやと思った。だがはなも俺や千寿郎には言い出しにくかったのだろうな。まさか子を成しているかもしれないなど。
 
 街の医者の元へいくはずだった日、お前の訃報を受け取った。
 はなは俺や千寿郎に気遣ったのだろうな、自分の体よりも俺たちを優先してばかりだった。医者にも行けず、一人不調の中悲しみと闘いながら過ごしていた。

 だが、とうとう限界がきたのだろう。はなは過労で倒れてしまった。その時だ、医者から子を成していると聞いたのは。

 しばらく療養したのち、屋敷へ戻ったはなを今度は俺たちが全力でサポートした。
 十月十日腹で子を守るはなは逞しかったぞ。生みの苦しみ中でさえも泣き言一つ言わずに耐えた。
 生まれた子を見た時は、俺も千寿郎もはなも…声を上げて泣いたものだ。
 お前が残した何より尊い忘形見を見て、堪えきれなかった。

 それからはなは暇さえあれば裁縫をしていた。その生地を使って。作ったものには必ず炎の紋様を刺繍で入れていたな。
 子が成長するたびに、お前の話を聞かせていた。その時のはなの顔は幸せそのものだった。
 それから毎年、お前の誕生日ははなが必ず祝うと決めて祝っていた。

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