第7章 promise[煉獄杏寿郎]
年を重ねることの重みを感じることもなく、ただ祝ってくれるならと参加してきた日々が、途端に意味を持った。
はなが大切にしてきた日だったのか。ならば…君にも祝ってもらいたかった。なぜ君は俺の前にいないのだろうか。
「相変わらずはなちゃん見つからねぇの?」
「あぁ。はなは生まれ変わっていないのかもしれないな」
「そうかねぇ…」
「俺には心残りがあるんだ」
「なんだよ。初耳だぜ?」
「あの日…無限列車の任務に着く日だ。はなは出立する俺に、帰ったら知らせたいことがあると言った」
「せっかちなお前が聞かずに任務に出たのかよ?」
「あぁ。はなは聞きたいなら必ず帰ってこいと言ったからな。彼女なりの願掛けだったのかもしれない。そんな彼女から無理矢理聞き出すなどできないであろう?」
「まぁ、そうだわな」
あの日のはなの顔は今でも目に焼き付いている。
いつまでも俺の背中に腕を回して離れなかったはなを宥めて、その腕を離してしまったことを今でも後悔している。
あの日、話を無理矢理でも聞いていたら…。結局、はなが何を言おうとしていたのか俺はわからないままだ。
「宇髄は何か心当たりはないのか?」
「心当たりねぇ。ないこともねぇな」
「なんだ!? 教えてくれ!」
「じじいになってもはなちゃんが見つからなかったらな。そしたら教えてやるよ。だから長生きしろよ」
「君も頑固だからな。一度決めたことはてこでも動かないことは知っている。はなを探すほうが簡単かもしれないな」
「ハッ! 良くわかってるじゃねぇか」
それに心当たりと言うだけで、本当にそれがはなが言わんとしていたこととは限らない。やはりはなを探すほかないわけだ。
「じゃあ明日な! 詳細はメッセージで送るから確認しとけよ」
「うむ! ありがとう。楽しみにしているぞ」