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夜空に輝く星一つ。【鬼滅の刃 短編 中編 】

第6章 咲 き 香 る[煉獄杏寿郎]



 肌のぶつかる音は大きくなり、俺を受け入れているところも切なく締まる。そろそろ果てたいはなは痺れを切らして控え目に舌を入れてくる。
 この瞬間が堪らなく好きだ。

「あぁっ…またっ…イッ…く」

 口の端からたらりと一筋、唾液が垂れた。それを舐めとりはなの好きなところをよりひつこく擦り上げると、一際高い声で啼く。
 
「あっ…んっ…もぅっ…あっあぁ!!」

「はなっ…!!くっ…うぅ…」

 これまで以上強く締め付けられ、一気に駆け上がった。
 果てた弾みに肘掛けからするりと手が落ちたはなの腹を掬いあげた。
 ぶるぶるとはなの中で震えながら全てを吐き出しながら、背中に唇を押し付けると、しっとりと吸い付く背中が荒い呼吸で上下している。

 壁に背を預けた俺の中に収まるはなに腕を回して旋毛に口づけを落とした。
 背を向けて座るはなの表情はわからないが、俺の腕に頬を擦り寄せて小さく息を洩らした。きっと、口元に緩い弧を描き微笑んでいる。

 夜風に吹かれた花弁が何枚も舞いながら落ちてくる。
 くたりと脱力したはなはかろうじて意識を保っていて、蕩けた瞳で花弁の行方を追っていた。

「杏寿郎様…ありがとう…」

 何への礼か考えることもままならないほど、俺の頭の中ははなからもらった甘さで満ちていた。

「礼を言うのは俺だ。俺を愛してくれてありがとう」

 はなは上を向いて俺と目を合わせると、無防備な屈託のない笑顔で俺の心を更に奪っていった。
 
 そして瞼を閉じて、俺の腕の中で小さな寝息を立てて夢の中へ行ってしまった。

「俺も少し休むとしよう」

 部屋の真ん中に敷いてある布団へ行くのも惜しい。全身で甘えるように隙間なく体を寄せるはなの体温をたった数歩の距離ですら手放したくない。
 周りに散らばる着物を手繰り寄せて、体を覆うようにかけた。
 はなと眠ると幸せな夢をみる。今宵もきっと。
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