第6章 咲 き 香 る[煉獄杏寿郎]
はなは目尻から溢す涙で頬を濡らしながら、窓枠に手をついて四つん這いになり俺の滾る熱を受け入れた。
散り散りになる理性を必死に手繰りよせながら、はなの中を存分に味わえば、渇望していたはなが少しずつ満たされていく。
纏っていた香りは、時間を経ると変化するようで、よりはなの香りと混じった香りはクラクラするほど煽情的だ。
ここへ来る間も何人の男が振り返ったか君は知らないだろう。
そしてその香りは、俺と交わる熱で更に強く香っている。
首筋に唇を這わせて、優しく噛んで甘さを味わう。
あれほど抱きつくし足腰も役立たずにした俺に、はなは一度だってもうしないでくれとは言わなかった。
いつもそうだ。俺の呆れるほどの滾る欲を、この細い体で全て受け止める。うわごとのように『いや』とは言っても、『やめろ』とは言わない。何度意識を飛ばしてもだ。
そんなはなに甘えて溺れて、しまいには抱き潰す。と思っていたのだが、結局俺がはなの包むような愛に抱かれていたのだ。それがあまりに心地良く、止められなかった。
「あっ…杏寿郎…さ…ま」
桜に顔を向けたまま、俺の名を呼びながら喘ぎをあげる。
俺に突かれて体を揺らすはなの耳から、さらりと髪が落ちた。俺の動き合わせて髪が波打つ中、短く息を吐き出して快楽に耐える。
背中に覆い被さり、迫り上がる吐き出したい欲求に素直に従い、ひたすらはなの中を擦るように突く。
頭の隅にあった、宇髄からの忠告は桜の花弁と共に散ってしまった。
ぎゅうぎゅうと腕の中に囲い込み、何度も果てさせては揺さぶった。
俺の欲を吐き出すための揺さぶりの中、はなが肩越しに俺を見た。
その眼差しは艶かしく、俺を求めていることが一目瞭然だった。
淋しそうに開いた口唇に唇を重ねる。唇を重ねたまま胸の突起を触れば、甘く洩れた声が俺の口内に響いく。でもまだ唇はただ重ねただけだ。舌は入れてやらない。はなが欲しがっていることはわかっている。俺の体温を待つかのように何度も唇を喰んでくるのだから。それでもまだ、まだそっと待つ。はなからの誘いを。