第4章 遭遇
「いずれナンバーワンになったら、もっと良いの買ってやる」
「これが良いんですって」
「ハン!可愛くねェやつ。っつかその敬語もやめれ。俺達、もう付き合ってんだろーが」
「…」
「おい、聞いてんのか?今更かもしれねぇが…これでも俺だってお前とちゃんと向き合いてぇって思ってんだよ」
「…」
「だから何でも言えよ。嫌なときは嫌って言っていいし、無理なもんは断ってもいい。テメェが欲しいもんなら何でも買ってやるし、好きなもんは好きって言やぁいい。テメェが聞きてぇなら、俺も…何でも言うようには、する」
「…」
最後のは少し迷いながら爆豪は言った。
たぶん、昨日さくらが言った事に対しての爆豪なりの答えなのだろう。
「俺様にはそれくらい屁でもねェんだ。それで何が起きても何とかしてやるからテメェは気にしなくていい」
「はい…」
さくらは苦笑しながら言った。
きっと、仕事柄言えないこともあるんだろう。
だけど、それでも私の不安を取り除こうとしてくれている。
今日の突然連れ出されたこのデートだって…きっと。
爆豪はそんなこと微塵も出さないけれど、きっと忙しい中、無理して時間を取ったのだ。
「チッ、だーからその敬語をやめろっつってんだろ、バカ」
歩きながら隣を見るとどこか爆豪は不満げだった。
ふふ、ホントに理想もプライドも高いんだなぁ、この人。
その仏頂面に笑みが溢れる。
「じゃあ早速聞いていいですか?」
「ア?」
明るいトーンでさくらは聞いた。
「今、何を調べてるんですか?」
「早速すぎんだろ!」
「何でも言うって言いました!」
「あー!そうだな、そうだった!」
爆豪は面倒そうにさくらの言葉を遮った。
「言える範囲でいいです。教えてください」
「……」
爆豪は考えながら口を開いた。
「…今、色んなとこでヴィランが暴れてんだろ」
「はい」
「そのヴィランってのが、これまで悪ぃことなんかした事ねぇっつう一般人だったってことが分かった」
「え…でも、死人が出るような事件を起こしてるんですよ…?」
さくらは病院で亡くなったあの女の子のことを考えた。
「それが一般人だなんて…」
「…そいつら全員、事件を起こす数時間前に会ってんだわ。アイツに」
「アイツ…」