第4章 遭遇
ドォン!!!
「ッ!!!」
再び鳴り響く爆発音、それと共に先ほどまで見えていたビルが崩れ落ちていく。
急いでその辺の建物に掴まって止まり、振り返るとさくらがしゃがみ込んでいた。
「さくら!!!」
戻ろうと手に力を込めた瞬間、さくらが震える足で立ち上がる。
そしてジャケットを頭に被りながらも爆豪の方を再び見た。
さくらと目が合う。
「…!」
さくらは親指を立ててまっすぐ腕を伸ばしていた。
そして相変わらず青い顔でニッコリと笑ったかと思うと、怒った顔でシッシとでも言うように手を払う。
「………チィッ!!!ミノムシが!!」
爆豪は大きな舌打ちと同時に崩れ落ちるビルの方へと飛んだ。
好きだ。
「クッソ!!何で何で何で何ッで、今なんだよ!」
好きすぎておかしくなるくらいに。
「あぁあー!!クソッ!今日はアイツのために使うって決めてたくせによ!」
初めて会った日、絶望的な状況でも諦めなかった姿に惚れた。
今日はどうだ。
『いってらっしゃい』
どんどんどんどん想いが強くなる。
そんな風に言われたら、どんな仕事でもできる気がしてたんだ。
それなのにこんなにも後ろ髪引かれてしまうなんて予測できるわけがねェ。
「ぜったいに戻る!早く助けて、早くぶっ倒して、お前んとこに戻るから!!!無事で!!!待ってろ!!!!」
大声で叫んだ。
チラリと見ると、聞こえたのか聞こえてないのか分からないが、さくらが両腕で大きな○を作っていた。
この時すぐにでも戻っていたら
この時俺がすぐにでもアイツの元に戻っていれば何か変えられただろうか。
そんな事を後になって思う羽目になるなんて、
この時の爆豪には知る由もなかった。