第4章 遭遇
「あの、、、付き合ってもらうって、ここですか、、、?」
「ア?なんだ、不満なんか?」
「不満ってわけじゃないですけど、、、」
さくらは目の前の景色を見回した。
目の前に広がるのは、有名ブランドの高級店が立ち並ぶ繁華街だ。
「想像したのと違って、ある意味ホッとしたというか、、、」
「ハッ!何を想像したんだ?」
「えっ!や、何でも!」
サングラスをかけていても分かる意地悪な顔に覗き込まれただけで顔が熱くなる。
「…サングラスなんてかけちゃって…!」
さくらは顔を背けて悔しまぎれに口を尖らせた。
このサングラスがまた似合っていて悔しいのだ。
「バカ、これは目立たねぇように変装しただけだ。今日はテメェのために使うって決めてたからな。こないだみたいに外野に邪魔されたくねぇだろーが」
「え?あの今なんて、、、」
一瞬彼がなにを言ったのか理解できなくて固まる。
聞き返した時にはもう爆豪はずっと前にいた。
私のため?
今そう言った??
「ホラ、んなとこでぼーっとしてたら放ってくぞ。誰かさんが暴れるせいで準備に手間取ったからな。あんま時間がねェ」
「あ!待って、、、っというかそれは、勝己くんが何も言わずに着替えをさせようとするから!!って、あの!どこへ行くんですか!?って、あいたっ!」
ピタリと爆豪の足が止まる。
走って追いつこうとしたさくらの足は急には止まれずに、その背中にぶつかる。
ぶつけた鼻を押さえながら見上げると、爆豪が無言で耳を指さしているのが見えた。
「?」
えと、、、耳、痛いのかな? ピアスが合わなかった、、、とか?
さくらが反応に困っていると、痺れを切らしたかのように爆豪が言った。
「だー!わかんねぇヤツだな!これの礼をさせろって言ってんだよ!!」
「ええっ!」
いや、わかんないよ!
驚きでツッコむ余裕もない。
「好きな店、入れよ」
「いやっ!いいですよ!そんなお返しもらうような高価な物じゃないし!!」
「いいからとりあえず入れや!!」
爆豪はさくらの手をむんずと掴むと、無理矢理目の前の店に放り込んだ。
これ、、、恋人に対する扱いじゃないよね!?
キラキラと光り輝くディスプレイに囲まれたさくらは心の中で叫んだ。