第1章 the very first day
今の私にできることをするしかない、、、!!
「助けてください!」
爆発音の中でも耳を澄ますと、遠くの方からサイレンの音が来ているのが分かる。
助けが来ている証拠だ。
それがどんなにカッコ悪くても。
「ここに人がいます!!」
ヒーローみたいじゃなくても。
「ここです!!!」
今私ができることは声を張り上げて、
少しでも早くここに人を呼ぶことだ。
ボンッッ!!!
一際大きな爆発音を発して、強い爆風とともに現れたのは。
「あ、、、」
「テメェ、このドブネズミが!!サッサっと逃げろっつっただろーが!!」
「、、、あなたは、、、!!」
さっきの金髪のヒーローだった。
「チッ!この下だな!」
「は、はい!!」
「離れてろ!」
「はい!」
彼は瓦礫を覗き込み、周りの安全を確認すると瓦礫に向かって手を出した。
ボンッ!ボンッ!ボンッ!!
さくらには何が起きたのかはよく分からなかったが、いくつもの小さな爆発音とともに瓦礫は宙を舞い、粉々に砕けた。
「!!」
急ぎ駆け寄ると、505号室の鈴木さんがうずくまっていた。
「鈴木さん!!」
「ッハァ、、、ゼー、、、」
瓦礫に胸を圧迫されていたのだろうか。
息が絶え絶えだ。
「大丈夫か!?」
「、、、何とも言えませんが、胸を強く打っている可能性があります。早く治療ができる施設へ行かないと」
「分かった。オイ!お前!!こいつをすぐに病院へ運べ!胸を打ってる可能性がある!」
「え?」
彼が呼びかけた先を見ると、いつ近くまで駆けつけていたのだろう。沢山のヒーローと救急隊員が来ていた。
彼らは次々と瓦礫の下の人達をその個性の力で助け出していく。
「あぁ、、、」
良かった、きっとこれで皆助かる、、、
「オイ、テメェ!」
ホッとしてフラフラとその場に倒れ込みそうになった時、さくらの腕を彼が掴んだ。
「!!」
下を見るとそこには鉄筋が飛び出していた。
「ボーッとしてんな!お前、この病院の者だろ?あの時、何人この場にいた!?」
「え、えっと」
「今は大体でもいい!教えろ!絶対に全員助けるぞ!」
「は、はい!!」
そう言って不敵に笑った彼の笑顔が、さくらの最後の記憶になった。