第1章 the very first day
「そうか。んじゃ、サッサっと逃げやがれ」
「、、、」
それだけ言うと、また派手な爆発音とともに彼は、瞬く間にその場からいなくなってしまった。
「、、、今のは一体、、、って、ハッ!!」
彼が去り、我に帰ったさくらはあたりを見回した。
「何、、、てこと」
そこは辺り一面瓦礫の山となっていた。
もはや今自分がどこに立っているのかも分からない。
ドクン。心臓が嫌な音を立てる。足の力が抜けていく。
ドゴォン!!
ダァン!!
「キャッ!!」
凄まじい音に思わず耳を塞ぐ。
姿は見えないが、彼が戦っているのだろうか。
『サッサっと逃げやがれ』
彼の声が頭の中に響く。
さくらは唇を噛み締めた。
「逃げるなんて、そんなこと、、、できるわけない!!」
唇を噛んで足に力を込める。
口の中に鉄の味が広がった。
「誰かー!誰かいませんか!!?返事を、返事をしてください!!」
さっきの人に助けられて幸い自分は動くことができる。
だけどここは病院だ。もともと身体の不自由な人も沢山いる。
それに先輩たちは、先生たちは、、、?
一体どこに行ってしまったの??
「お願いだから!返事を!!返事をしてください!!」
「タ、、、タスケテ、、、」
「!!」
声のした方に目を凝らす。
「どこですか!?」
「、、、コ、、ココ、、、」
大きな瓦礫の下から声がした。
覗き込むと微かに人の手が見えた。
「見えました!大丈夫ですよ!必ず、、、必ず助けます!!」
瓦礫の下に手を入れる。
「んんんー!!ッハ!ハァ、ハァ、、、」
瓦礫はピクリとも動かなかった。
「大丈夫ですか!?返事、できますか!?今、今助けますから!」
「、、、ウゥ、、、」
声が弱くなっていってる。
どうしよう、、、私1人では助けられない。
「誰かー!!誰かいませんか!?お願いします!ここに人が!」
必死で叫んだ。
「誰か!!お願いします!助けてください!!!」
誰も、、、いない、、、。
涙が溢れた。
こんな時、自分に役に立つ個性があれば。
こんな時、、、こんな時こそ、助けられないと意味がないのに、、、
だけど、、、
溢れ出る涙を必死で拭った。