• テキストサイズ

【ヒロアカ】マイスーパーヒーロー

第1章 the very first day


「あのぅ」

「、、、!」


さくらはその後の事はあまり覚えていない。
ただひたすら泣いて泣いて馬鹿な自分を呪った。


「これ、落としましたけど」

「、、、ッ。あ、ああ、ありがとう、、、ございます」

「、、、?変な子、、、」


そしてあの日、自分に声をかけてきた男と同じ年頃の若い男が怖くてたまらなくなってしまった。
それは、声を聞くだけで震えが止まらなくなるほどに。



「、、、はぁ、、、」


ハンカチを拾ってくれた男が立ち去ってホッと息を吐く。
こんな自分が心底嫌になる瞬間だ。



幸い病院というのは若い人は少なく、大抵が子供かお年寄りだ。
たまに若い患者もいるが、その時は周りに人もいるので何とか乗り切れている。
それに何よりさくらは看護師という仕事に誇りを持っていた。


『ヒーロー』


この世の中で最も人々から尊敬される存在。
TVに映る彼らは本当にカッコよく、さくらも幾度となく助けられてきた。
そんな彼らに憧れる子供の中に、さくらもいた。


しかし分かっていた。個性が無いに等しい自分はヒーローにはなれない。
それでも、医療の技術があれば人を救える。個性に頼らなくても技術なら身につけられる。
そう考えて看護師の道を選んだのだ。


そして今年、念願の看護師の試験に合格した。



ガチャ。


「ただいまー。はぁ、疲れた、、、おばあちゃん、疲れたよー」


棚の上には大好きな祖母の写真。


「今日もね、ヴィランが暴れてね、沢山の人が怪我したの。そんで、私と同じくらいの女の子がね、、、1人亡くなっちゃった」


写真の中の祖母はいつだってさくらの話を聞いてくれた。


「私が一人前になってたら助けられたのかな、、、ヒック、、、悔しい、、、私、助けたかったよ」


穏やかに微笑む祖母の前では素直になれた。


「私、、、っく、、、もっと、、、頑張る、、、から」


いつだって祖母が背中を押してくれている。
そう思った。



/ 104ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp