第2章 新しい生活
「あ、ほら!みんな映ってるよ!」
「えっ!」
リカバリーガールに呼ばれて急いでテレビを覗き込む。
「あっ!」
その映像に思わず口元を手で覆った。
「酷いもんだねぇ」
「、、、っ」
轟々と燃え盛る炎が建物の窓から吹き出している。
その上の階にはまだ助けを求める人の姿。
さくらの頭に、あの日助けられなかった女の子の煤だらけの顔が浮かんだ。
時折映るヒーロー達の中に、ダイナマイトもウラビティもいた。
みんな顔を真っ黒にして次々に人々を救出していく。
その必死の姿にさくらは唇を噛んだ。
再び胸が痛みだす。
2人とも違う世界の人みたいだ、、、。
ううん、違う。
元々、違う世界の人達だったんだ。
「皆、必死だろう?」
リカバリーガールの言葉はハッとする。
「あんたが来る少し前にも同じような火事があってね。ほら、ここのところヴィランが沢山暴れてヒーロー達は忙しくて、なかなか駆けつけることができなかった。結果、ちょうどあんたぐらいの若い女の子が1人犠牲になっちゃってね」
「!!」
あの、女の子のことだ。
「あの2人も。皆、すごく悔しがってね。あぁ、ウラビティなんかは泣いてたね」
ウラビティさんが、、、?
「だから今回は誰一人として犠牲にしたくないのさ」
さくらの脳裏に、ダイナマイトやウラビティの笑った姿が浮かんだ。
あの女の子が亡くなった時、悔しくて泣くことしかできなかった。
役立たずだと自分を呪った。
そんな自分に比べて2人はどうだろう。
悔しい思いをした後、同じ思いをしないように2人は今あんなに必死で戦っているんだ。
「それから、あんたのことも。あの子等は本気で守る気だよ。さっきも麗日が必死であんたの世話を頼み込んできたからねぇ」
「ウラビティさん、、、」
「あと、あの口の悪いのも、腰が重い上層部を動かそうと必死になってたねぇ。ま、やり方はド下手だったけどね」
「ダイナマイトが?」
「それだけあんたを守りたかったのさ」
「、、、」
そんなこと知らなかった。
2人の思いも。苦しみも。悲しみも。
いつも私の前では笑ってくれていたから。
必死さなんて微塵も感じなかった。
2人はいつだって戦っていたんだ。