第2章 新しい生活
「あ、ダイナマイト。あの人、追い出したりしなくても、、、。あの人もヒーローなんですよね?」
さくらは上鳴に悪い気がしてならなかった。
「いんだよ、アイツは。っつか、その格好他の男に見せたくねェし、、、」
「えっ?最後、何て?」
「何でもねェよ!!っつか、麗日!!さっきのサイレンは何だよ!?」
話を逸らす爆豪。
そういえばさっきから目も合わせてくれない。
「あ!そやった!爆豪くん、緊急出動やで!C市のビルで大きな火災が起きてるって!またヴィランかな?とにかく人手が足りてなくて」
「またかよ!どうなってやがんだ、最近は!」
「それでさくらちゃん、その間ごめんなんやけど、、、」
麗日の申し訳無さそうな顔に全てを察するさくら。
分かってる。みんな仕事だ、、、なのに。
さくらの胸はチクリと痛んだ。
「あっ、、、私は大丈夫です。早く行ってあげてください」
「ありがとうっ!すぐにリカバリーガールも戻ってくるから安心してね!じゃあ私は上鳴くんと先行ってるから!爆豪くんは着替えて現地で!」
2人が出て行った後の救護室は、急に静かになってしまったようだ。
「「、、、」」
「ッシ!んじゃ、俺も行くわ」
「あっ、、、はい。気をつけてくださいね」
さくらは爆豪に向かって微笑んだ。
ガシッ。
「!」
そんなさくらの頭をガシガシと乱暴に爆豪は撫でた。
「あっ、ダイナマイト!そんなにしたら目が、目が回って、、、」
「ハッ、頭ボッサボッサじゃねーか」
やっと解放されてフラフラになるさくらと、それを見て嬉しそうな爆豪。
さくらはそんな爆豪をに向かって膨れた。
「もうっ誰のせいですか!」
その膨れっ面に今度は優しく手を乗せられる。
「すぐに戻る」
「、、、!」
低い声でさくらの耳元で爆豪が言う。
その言葉と手の温かさに喉奥がツンと痛んだ。
さくらは扉に向かうその背中に声を振り絞った。
「ダイナマイト!!、、、あの、えっと、たくさん、助けてきて!応援、しながら待ってますから!!」
「、、、おぅ」
爆豪は不敵に笑って出て行った。
ヒラヒラと手を振って見送る。
不思議と胸の痛みはもう消えたような、そんな気がした。