第2章 新しい生活
さくらはダイナマイトの言葉に喉の奥が痛むのを感じた。
1つでも言葉を発したら、一瞬でも瞬きをしてしまったら涙が溢れてしまいそうだった。
「ッ」
そんなさくらの頭をダイナマイトはポンと叩いて言った。
「ハッ!今のところミノムシヒーローっつーとこだけどな」
さくらの首元でわざとキュッとブランケットを重ねて、ニヤリと笑うダイナマイト。
「、、、ッ」
そんな姿にさくらは涙を拭って笑った。
「だから!ミノムシじゃありませんって!!」
勢いよく立ち上がって拳を振りあげる真似をする。
眼下にはダイナマイトがしゃがんでいて、その瞳も笑っているように見えた。
と次の瞬間、
「へっ??」
「おわっ!!」
ブランケットの裾を踏んで盛大に転んだ。気がつくとダイナマイトの上にいた。
「「!!」」
驚いた顔のダイナマイトと至近距離で目が合う。
いつも目元を隠しているマスクが転んだ拍子に取れたのか、ダイナマイトの素顔を初めて見た。
コスチューム越しでも分かる厚い胸板に手が触れている。
街の喧騒が全部消えて、心臓の音だけがやたらと大きく聞こえた。
「、、、あっ、ごめんなさい」
我に返って、急いでダイナマイトの上から降りようとする。
その手を、
「おい、待て」
ダイナマイトに掴まれた。
「ッ!」
そしてそのまま引き寄せられた。反動で頬がダイナマイトの首元に当たる。心臓が一際大きく鳴り、息が止まった。
「!」
何?これ、何?
ダイナマイトの肌が当たって、、、、っ
ダメ、心臓潰れそう、、、。
もう限界だ。
さくらがそう思ったとき、
「お前、なんか熱くないか?熱か?」
ダイナマイトが真顔で言った。
「え?」
ハッとするさくら。
「あの、、、もしかしてそれを確かめる為に引き寄せた、、、?」
「ア?それ以外何があるっつーんだよ」
「ッ!な、何も!何もないです!!」
さくらは勢いよく飛び退いた。
そして急いで部屋に入った。
「それじゃっ、おやすみなさいっ!!」
「あっ、こら!お前、熱は!?」
「無いです!大丈夫です!この通り!すっごく元気ですから!!」
ダイナマイトが何か言いかけるのも聞かずに、ピシャリと窓とカーテンを閉めた。