第2章 新しい生活
「しかも私は出来損ないで何をやっても上手くできなくて。その上、あんな事件まで起こしてしまった、、、」
「、、、」
ダイナマイトはただ外の景色を見ていた。
「だからせめて、2度とこの力を口外しないようにと生きてきました。それから自分はこの力を自分で必ず最後にすると。もう2度と誰もこの力の犠牲にしたくないと思ってきたのに。結局ダメでした。見つかって、病院をあんな風にしてしまって沢山の人を巻き込んだ。それを自分のせいだと認めたくなくて、アイツの存在を消そうとしてたんです」
「、、、」
「でも本当は分かってた。これ以上、周りに黙っていても迷惑をかけるだけだって、、、でも勇気が出なかった。怖かったんです。また誰かが私のせいで居なくなってしまうかもしれない。すごく怖かった。だけど、、、」
さくらは爆豪を見た。
月の光で金色の髪がキラキラと輝いていた。
「ダイナマイトの言葉で、勇気が出たんです。あなたが背中を押してくれた。あなたのお陰で私、ちゃんと言えたんです。ずっと、、、ずっと言いたかったこと、、、」
黙ったままのダイナマイトの背中が滲む。
「さっき、夢に出てきた祖母が言ってくれました。『お前は悪くないよ』と。まだそんな風には私、自分のこと思えないけど、、、だけど、、、ちょっとだけ前に進めたのかなって、、、祖母はこれで良かったんだって言ってくれたのかなって、、、思えたんです」
顔が熱いのは、きっと一気に喋りすぎたからだろう。
「、、、だから、ありがとう」
「、、、」
恐る恐るダイナマイトの様子を伺うも何の反応もない。
話が長かったから怒ってるのかも。
半分諦めて部屋に戻ろうとした。その時。
ガン!と乱暴に窓を開け放つ音と同時に、ふわりと柔らかくて温かい感触が体を包む。
「!!」
ダイナマイトにブランケットを頭から掛けられていた。
「テメェのばあちゃんがどうかは知らねぇが、俺はテメェを出来損ないとか思ったことねェよ」
「、、、!」
真剣な瞳でダイナマイトが言う。
「あの場で助けを呼ぶのに必死だった姿も、今日あそこで踏ん張って発言してた姿も、俺には、、、その、、、俺達と同じヒーローみたく見えた」
「、、、」