第2章 新しい生活
くしゃみをしたダイナマイトにブランケットを差し出す。
「アァン?要らねーよ、んなもん」
ダイナマイトはそのまま、上へ戻ろうとした。
「風邪をひいたら私のこと守れないんじゃないですか?」
強い口調で言うとダイナマイトの足が止まった。
「!」
「ちゃんと守ってください」
「チッ!分かったよ!」
「あったまってますよ」
「うるせーな」
奪い取るようにブランケットを受け取るダイナマイト。
受け取ると大人しくブランケットを被っていた。
この人意外と素直なのかも?
さくらは少しダイナマイトのことが分かってきたような気がして笑った。
中に入って後ろを振り返ると、ブランケットを被るダイナマイトの後ろ姿が見えて、さくらはもう一度窓際に戻った。
窓を少しだけ開けて声をかける。
「ダイナマイト」
「アァン!?」
不機嫌な返事が返ってくるのは予想通り。
「今日はありがとう」
「ハァン!?何のことだ」
「、、、少しだけ話してもいいですか?」
「少しだけだな!」
「はい、少しだけ」
「、、、チッ、仕方ねえな。1分で話せよ」
そう言って窓にもたれかかるダイナマイトにさくらは話し始めた。
「私、毎日のように祖母の夢を見るんです。祖母はいつも遠くの方にいて微笑んでくれているだけの夢なんですけど、私いつも謝るんです。私のせいでごめんねって、、、でも祖母は何も答えてくれなくて」
「、、、」
「私の祖母は、個性なんか使わなくても優秀な人間でした。沢山の人に慕われて、この世の中の役に立つようにバリバリ仕事もしていたらしいです。そして、祖母はこの個性を終わらせるために無個性の祖父と結婚しました。そして無個性の母が生まれた。祖母は喜んだと思います。だけど、そんな母から私が生まれた。祖母は私の個性を知っても優しかったけれど、本当はどう思ってたんでしょうか?結局、この個性は無くならなくて、悲しんだんじゃないでしょうか?」
さくらの頭の中には優しい祖母の笑顔が浮かぶ。