第1章 the very first day
「清野さん!何つったんてんの!?早くしなさい!!」
「は、、、はいっ!!」
清野さくら、22歳。
今年、看護学校を卒業したばかりの看護師だ。
「婦長、もしかしてまた、ヴィランですか?」
「そうよ!これから重傷者が運ばれてくる!急いで準備するわよ!!」
さくらは担架を走らせながら待合のTVを横目に見た。
轟々と天まで燃え盛る炎があんなに大きなビルを包み込んでいる。
ドカン!!
大きな爆発音まで聞こえる。
「ひっ、、、」
その光景に思わず血の気が引いた。その時、
ガタン!!
「きゃあっ!」
さくらは担架の脚につまづいて転んでしまった。
「う、、、」
「もう!何してるの!?ここはいいわ!あなたは次に来る救急車の誘導をして!」
「わ、分かりましたっ!」
バタバタ、、、!!
さくらが体勢を立て直しているうちに、先輩たちは治療室へと駆けていき、見えなくなってしまった。
「、、、はっ」
ピーポーピーポー!!
「患者さんはこちらへ!!」
その後
溜息を吐く暇もなく、次々と患者が運び込まれ、気がつくともう終業時間をとっくに過ぎていた。
「ふぅ、、、やっと、落ち着いたわね」
治療室から出てきた先輩が倒れ込むように席に着いた。
「あ、あのっ、最後の患者さんは、、、」
あのビルから最後に運び出された人。
全身煤だらけでここに来た時には意識がなかった。
「、、、ダメだった」
「、、、ッ、、、そう、ですか、、、」
「あんたねぇ、もうここに来て半年以上経つんだから慣れなさい」
「っ、、、はい、、、っ!」
顔はよくみえなかった。
だけどあの人は、たぶん、自分と同じ年頃の女の子だった。
「全力を尽くした。あれ以上できることはなかったわ、、、」
「っていうか清野さぁ、そんな泣いてる暇があるんならもっと仕事ができるようになりなさい!」
「はい、、、!がんばります、、、っ!!」
「あーもう顔グシャグシャじゃんー!とりあえずもう今日は上がっていいから!」
「いやです!私、まだ動けますから、、、っ!」
「それ、労基法違反だから!顔洗ってサッサっと帰ってくれないと困るの!」
「、、、う」
「ちゃんと前見て歩くのよ」