第1章 the very first day
「絶対に、、、?」
震える唇でさくらは何とか呟いた。
「あぁ、絶対にだ!!」
ダイナマイトは迷いなく答える。
“絶対“
その言葉をかつてさくらは先輩からこう口酸っぱく教わった。
『いい?世の中ね、絶対なんてことはないんだからアンタ軽々しく言うんじゃないわよ?患者さんに対して、絶対に治りますよ!とか絶対大丈夫!とかね』
『特に私達は人の命に関わる仕事してるんだから、そんな無責任なこと絶対!言っちゃダメだからね!!』
茫然とする頭で、先輩の言葉をダイナマイトに返す。
「この世の中に絶対なんてことあるんですか、、、?」
頭に浮かぶのは、霊安室に横になるおばあちゃんの姿で。
もしもまた、誰かがそんな目に遭ったら?
それが自分の大切な人だったら?
目の前にいる、この人だったら?
「人の命を預かる仕事してて、そんなこと言っていいんですか?」
自分の意地悪な言葉が目の前の景色にどんどん暗い影を落とす。
ダイナマイトの顔も消えかけた、その時。
「俺の中にはある」
ダイナマイトの声がまっすぐ胸に落ちた。
怒鳴るでもない、静かな低く響く声。
その声でハッと焦点が合ったさくらの目の前に、不敵な笑みを浮かべるダイナマイトがいた。
「あ、、、」
そういえばこの人は初めて会った日もそうだった。
あの瓦礫の山の中で。
何人もの人の呻き声が木霊する中で。
『絶対に全員助けるぞ!』
そう言って。
「、、、あの時もおんなじ顔して笑ってた」
「ッ!!テメェ、何泣いてんだよ!」
突然涙を流したさくらに動揺するダイナマイト。
「えっ?」
頬を拭って自分の涙に初めて気が付いた。
「え?じゃねェよ、テメェのことだろーが」
「何で、、、ッ、私、、、止まらない。何で」
「オイ、そんなんでこれからちゃんと話できんのかよ?」
「ごめんなさい、、、私、ちゃんと話、したくなったのに、、、ッ」
「え?マジか?」
「はい、あの、ダイナマイトさんを信じたいって、、、今そう思って」
「本当か!?」
目を丸くして驚くダイナマイトがなんだか急に可愛らしく見えてさくらは思わず笑った。
「あなたが言ったんじゃないですか」
そしてこう言った。