第1章 the very first day
「やっと収まりやがったか」
「はい、、、すみません」
笑いが収まったさくらを一瞥すると爆豪は言った。
「オイ!デク!!」
「は、はいっ!」
「今日のこと、コイツに話してやれ」
「OK」
偉そうな言い方なのにデクと呼ばれたヒーローは嫌な顔1つしない。
この2人ってどういう関係なんだろう?
とさくらは思った。
デクが話した内容はこうだ。
ヒーロー協会は、あの事件の犯人、目的を掴むために少しでも情報が欲しい。
だからあのヴィランの唯一の目撃者であるさくらの話を聞きたい。
「あの、、、あのヴィランだったら、私だけじゃなくダイナマイトさんも目撃されたのでは、、、」
「アァン!?」
「わ、すみません!」
さくらの発言にダイナマイトが怒る。もうさくらの前で自分を隠すことはやめたらしい。
こ、こんな人だったなんて。
先輩達!騙されてます、、、!!
「あ、あのさくらさん。まぁ、もう気付いていると思うんだけど、ダイナマイトはいつもこんな感じで」
「はぁん!?」
「一度聞き取りは行ったんだけど、あまり証言の体を為していなかったというか、、、分かりにくい所があって」
「それは、アイツらの理解力が足りてねェんだっつってんだろーが!」
「もう!爆豪くん、そう言う所だよー」
「ウッセ!」
「と、とにかく、さくらさんには申し訳ないんだけど、協会も他の人の意見を聞いて色んな角度から今回の事件を検証したいと考えているんだ!」
「なるほど、、、」
たしかにさくらにはダイナマイトが今少し接しただけでも丁寧な説明ができる人には見えなかった。
それに対してデクの話はとても分かりやすく、なぜ自分が呼ばれたのか納得もしやすい。
「でも、私あの時のことあまり覚えていないんです」
「、、、」
その場が静まる。ドキドキと自分の鼓動がやけに大きく聞こえた。
「そ、そうだよね!あんなことがあったんだもん!仕方ないよ」
「うんうん!覚えてることだけでもいいから、話してもらえないかな!?」
デクとウラビティは困りながらも優しい言葉をかけてくれた。ショートは何も言わず足下を見ている。
さくらはただ1人、自分を睨むように見ていたダイナマイトの顔だけは見ることはできなかった。