第1章 the very first day
一瞬驚いた爆豪だったが、よく見てみるとその耳は真っ赤で、その手は小刻みに震えていた。
「、、、フン」
それでもしっかりとした大きな声に、あの時の記憶が蘇る。
そうだった。あの時もコイツはそうだった。
あの絶望的な状況で茫然と立ちすくむわけでもなく、気絶するわけでもなく、フラフラになりながら大声張り上げて必死で助けを求めてた。ここだって、叫んでた。
だからあのジイさんの所にもすぐに行けたんだ。
「相変わらず、デッケェ声だな。けどな、、、あの時、俺らはその声に助けられたんだ。こっちこそ、、、ありがとな」
「、、、!!」
「、、、あと元気そうで何よりだ」
最後はなんだが恥ずかしくなって、さくらから目を逸らして何とか言葉を発した、、、、ところでハッと我に帰る。
そういえば、アイツらがまだいたんだった、、、!
恐る恐る周りを見ると、緑谷も轟もそして麗日までもが自分を見て固まっている。
「かっちゃんが、、、あのかっちゃんがちゃんとヒーローらしくしてる、、、!」
「あ、当たり前だ。爆豪だって、もう立派なヒーローだ」
「爆豪くん!丸くなったねぇ!!」
「う、、、ウッセー!!黙れ、テメェら!何しみじみしてやがんだ!この、ゴミ野郎共が!!消えろ!今すぐ!」
「かっちゃん、一般の人の前だよ!」
「ッは!!」
ハッとして、恐る恐るさくらの方に再び目を遣る。
「ぷっ、、、ふふ、あはは、、、」
さくらは顔を真っ赤にして笑っていた。
「笑うな!チクショウ!!」
「すみません、、、でも、、、っ、おかしくって、、、ふふ!」
「だー!全部テメェらのせいだぞ!!シネ!!」
「あー!また爆豪くん、一般の人の前でヒーローはそんな言い方しないよー!」
どうしてだろう。
顔は爆発してしまいそうなくらい熱くて、緑谷達に対してはものすごくイライラしているのに。
「あはは、もう、限界です、、、!」
さくらが楽しそうに笑っている。
その姿を見ていると、こんな状況でもいつものようにうまく怒ることができない自分に爆豪は戸惑っていた。