第1章 the very first day
「ッ!!クッソ!!何でまた同じ事を話さねぇといけねんだよ!頭ゴミ虫レベルかよ、チクショウが!!」
ダイナマイト。こと、爆豪勝己は大会議室横の控室のゴミ箱を派手に蹴り上げた。
「だ、だめだよ、かっちゃん。音が隣まで聞こえちゃうよ」
「聞こえるように言ってんだよ、バカ!!一回話した内容もわかんねぇのかってな!!!」
「そ、そんなだからまた話す羽目になってるんじゃないか。しかも被害者の方まで呼ぶことになって」
「アァン!?被害者!?聞いてねェぞ、そんなこと!」
「、、、そうやって怒ると思ったから言ってなかったんだよ。というか自分が呼んだんじゃないか」
怒りに任せて掴みかかった爆豪から目を逸らしてボヤく緑谷。
昔から犬猿の仲だった緑谷がなぜ今自分の監視をしているのか。
それが更に爆豪の怒りの火に油を注いだ。
コンコン。
扉がノックされる。
「ダイナマイト。デク。清野さんが到着した。入るぞ」
この落ち着いた声は轟。
「さっ、入って入ってー」
しかも麗日までいやがる。
こんな時に限って何で顔見知りばっかなんだ!
「チィッ!!」
爆豪は舌打ちをし緑谷を離すと、ドカンと大きな音を立てて椅子に座った。
「あ、あの、失礼、します、、、」
「、、、」
爆豪は小さな声で遠慮がちに入ってきた清野さくらにめんどくさそうに視線を投げた。
背の高さは麗日と同じくらいだろうか。
年齢は分からないがまっすぐに切り揃えられた黒髪のせいで未成年にも見えるが、自分とそんなに変わらない年頃のような気もする。
あの時はそんなに意識して見ていなかったが、顔は可愛い系だったらしい。丸めの顔と目が更に麗日と被った。
「!!」
気づけば長い間見てしまっていたらしい。
バッチリと目が合ってしまった。
しまった、、、!見すぎた、、、
いつもヴィランを倒すとサッサとその場から去っていたから、一般人と話すことに爆豪は慣れていなかった。
爆豪が逸らそうとした視界の端で、さくらが勢いよく頭を下げた。
「あ、あの、あの時はありがとうございました!!」
「!!」